妖アパ・妖怪アパートの幽雅な日常 ファンサイト

妖アパ・妖怪アパートの幽雅な日常のあらすじ(ネタバレ含)とか、名言とか、主人公ほかキャラクター紹介、好きな場面とか、です。

妖アパ・妖怪アパートの幽雅な日常 マンガ・コミックス1巻あらすじ・ネタバレ・見どころなど

この物語は、主人公稲葉夕士(いなば ゆうし)のモノローグの形でお話が語られていきます。 はじめに主人公夕士の生い立ち、人間関係が描かれ、ある災難をきっかけに妖怪アパート・寿荘での生活が始まります。

未読の方には一部ネタバレになりますので、その点はご留意ください。 では、妖怪アパートの世界へご一緒に!

収録話とあらすじ

妖アパ・妖怪アパートの幽雅な日常 マンガ・コミックス第1巻には次の5話、プラス描き下ろし1編、おまけ1本が収録されています。

第1怪 夕士と寿荘
第2怪 妖怪アパートの住人たち(前編)
第3怪 妖怪アパートの住人たち(後編)
第4怪 クリとシロ(前編)
第5怪 クリとシロ(中編)
(描き下ろし)夕士くんの幽雅な日常 初夏編
(おまけ)妖怪アパートの幽雅な設定


第1怪 夕士と寿荘

この物語の主人公、稲葉夕士(いなば ゆうし)は条東商への入学を控えたもうすぐ1年生。 中1のときに両親を事故で亡くしてからずっと、伯父の家に身を寄せていました。叔父さん叔母さんは優しかったけど、やっぱり自分の両親ではないので気をつかうし、一つ年上のいとこ恵理子は年の近い男の子の夕士が一つ屋根の下で暮らすことにかなりのストレスを抱いていたようで、いつもピリピリ。肩身の狭い思いはもうたくさんだと寮のある高校を希望、見事希望の条東商に合格したのでした。

入学まであと1週間となった頃、その寮が火事で全焼というニュースが飛び込んできます。建て直されて寮に入れるのは半年後。伯父さんの家にはもう1日たりとも居たくなかった夕士は、アパート探しに不動産屋を回りますが、子ども扱いされてどこも門前払い、ろくに話も聞いてもらえません。

途方に暮れて、公園のベンチで頭を抱えていたところにひょっこり現れた小さな男の子が「あそこで相談してみたら? きっといいところを紹介してくれるよ」と指差した先にぼうっと浮かび上がるのは「前田不動産」という看板。

親身に話を聞いてくれた前田不動産のおじさん。寮ができるまでの半年だけ、自分が持っているアパートの部屋を特別に貸してくれると言い出します。賄い付きで家賃2万5000円、アパートの名は「寿荘」。 あまりにできすぎた話に訝る夕士に、「実はいわくつき。出るんだな、これが」とオバケのような手つきをしておどける前田のおじさん。一瞬迷うものの、どうしても叔父さんの家を出たい夕士はその話に飛びつき、前田のおじさんに連れられ寿荘にやってきます。

外観は壁にツタの絡まるレトロな洋館、食堂の隣にある広い縁側のある和室の居間がとても居心地良さそうな素敵なアパートです。

最初に出会った住人は、夕士も大ファンの耽美小説家であり詩人の一色黎明、明るく元気な女子高生、久賀秋音ちゃん。
憧れの詩人が住んでいる、可愛くて明るい女子高生も住んでいる。 素敵なアパート生活を予感した夕士でしたが……。



第2怪 妖怪アパートの住人たち(前編)


次々と出会う妖怪アパート・寿荘の住人に夕士は驚いたり、面食らったり、気絶させられたり、息つく暇もありません。

佐藤さん、山田さんは幽霊。佐藤さんは一流企業に勤め、毎日スーツを着て出勤していると聞き、幽霊でも一流企業に勤められるのか?と夕士は複雑な表情。

同じく幽霊の小さな男の子クリとそのそばを片時も離れない白い犬のシロ。シロも幽霊。びっくりしながらもクリにそぉっと手を伸ばし頭を撫でてみた夕士は、かわいい……とちょっと感動します。

画家の深瀬明に「人間かどうか」を尋ね、いきなりカツをくらい、賄いのご飯の美味しさに、るり子さんがお化けでもかまわないといった舌の根も乾かないうちに「手首だけ」と聞いて気絶する夕士。とにかく忙しい。

怪しさ全開の骨董屋、住人だけじゃなくご近所さん(人ではない)まで次々と現れ、世の中いろんなことがあるんだなと受け入れ始めた夕士にとどめを刺したのは美人幽霊のまり子さん。湯上りの半裸姿でビールをおっさんのように飲み干し、「よろしくねー」と夕士をその立派な胸の中にむぎゅっと抱きしめたものだからとうとう夕士も「いいかげんにしてくれー!」と叫んでしまうのでした。

一瞬場がシンとなり、しまった、自分の反応がみんなを萎縮させてしまったかと思った夕士。

そこに登場したのは、こののちずっと夕士が憧れ続け、その言葉を胸に抱いていくことになる龍さん。龍さん登場の場面はビジュアル化されているマンガならでは。必見です。



第3怪 妖怪アパートの住人たち(後編)

クラスメイトの田代 貴子(たしろ たかこ)は明るくて物怖じせず、竹を割ったような性格。中学時代は心を閉ざし、小学校からの親友の長谷 泉貴(はせ みずき)以外ほとんど友達はおらず、年の近い女子といえばいつも冷たく当たられているいとこの恵理子しか知らない夕士は、そんな田代に始めは驚くものの、英会話クラブも同じで女子のわりにサバサバしていてつき合いやすい性格の田代と仲良くなっていきます。

そんなある日の学校帰り、いつものようにかしましくおしゃべりしながら帰っていく田代の後ろ姿に夕士は強い胸騒ぎを感じて……。

夕士は自分でも知らなかった力を発揮し、思わぬ形で友達を助けます。



第4怪 クリとシロ(前編)

夏休み、運送屋のアルバイトに英会話クラブの活動と忙しい夕士。寿荘の生活にも慣れてきました。手だけしかない賄いのるり子さんが作ってくれる食事は美味しいし、地下の温泉岩風呂はいつでも入れて気持ちいいことこの上なし、幽霊がいても妖怪がいても、まあいっか。そんな生活もあとわずかだし、と思うようになっていましたが、突然現れた見知らぬ霊獣に腰を抜かすほど驚きます。

その霊獣、オオカミは茜さまといい、クリを母として守ってきたのでした。 クリは2歳ぐらいのときに実の母親に虐待され、殺されました。シロは生前全くクリの世話をしない母親の代わりにクリの面倒を見ていた白いメス犬でした。

シロはクリが母親に殺された場にも居合わせ、クリが殺されるとその場で母親をかみ殺し、それを見ていた他の人間に殴り殺されてしまいますが、それはずっとクリのそばにい続けるためにシロが自身が選んだ道でした。

クリの母親は自ら殺したにもかかわらずクリに執着し、悪鬼の霊となってクリが死んだ後も追いかけてきました。シロはそんなクリを背に乗せ、犬族の神、大神様のところに逃げこみます。大神は魂まで母親の念でけがれてしまっているクリを滅しようとしましたが茜さまに助けられたのでした。



第5怪 クリとシロ(中編)

夏休みも終わりに近づいたころ、クリの母親の来襲の気配にアパートの住人は撃退の準備に入ります。クリの母親は未だクリに執着し続け、時折クリを求めて寿荘にやってくるのです。茜さまがアパートに現れ、出かけている龍さんも式神を送ってきてくれる。なんでも飲む理由にしてしまうこのアパートの大人たちは酒宴の準備。

みんなに見ない方がいいと言われる中、母親の執着とはどんなものなのか、自分の目で見てみたいと、クリの母親との対峙に立ち会うことにします。自分にはもういない母親、亡き母のことも思いながら。

ついに現れたクリの母親の姿を見た夕士は……



(描き下ろし)夕士くんの幽雅な日常 初夏編

ある夏の1日。
運送屋のバイトでクタクタになってアパートに帰ってくる夕士を出迎えてくれる華子さん。 姿が見えないけど?と訝る夕士に、一色さんはそのうち見えるようになるよ、と気安く言います。夕士はアパートを出るまでに華子さんの姿を見られるのでしょうか?



(おまけ)妖怪アパートの幽雅な設定

寿荘の建物や妖アパ名物るり子さんのザ・家庭料理(にしては豪華すぎる?)な毎日のメニュー。文字だけの小説からビジュアルを起こしていった裏がわがちょっとだけ覗けます。



みどころ・名場面

妖怪アパート・寿荘に来て、夕士はたった2日の間に今までの常識を根底から覆されるような経験をしますが、その短い間にアパートの住人の口から語られたり、何気なく漏れたつぶやくような一言にどんどん刺激を受けていきます。

その一言一言は、読んでいる私たちにも語りかけてくるようで、ちょっとした一言に心が揺さぶられることも。
その一つが「あんまり急いで大人になることないよ?」と秋音ちゃんが初対面で夕士にかけた言葉。 この子凄っって、ビビった一言です(あんたまだ高校生やろ?)。 一色さんや深瀬明も何気にいろいろと深いことを会ったその日に繰り出してきます。

それらのことばに読んでいる自分の心がどう反応するか、その時々で違ったりするのもこの作品の面白いところ。 前はなんとも思わなかかったのに、今回はぐさっと刺さったり、その逆だったり。読んだ時の自分の状態や環境によって反応が変わったりするのを自分で観察してみるのも楽しいです。

なんと言っても一番の見所は「龍さん」登場に続くあの名言が語られる場面(100%私見です!)ここは何度読んでもぐっと心にしみますけどね!

あなたもお気に入りの場面や言葉が見つかりますように!